JNNTCセンター長・NIDCAPトレーナー紹介

JNNTCセンター長 挨拶
藤本智久

藤本 智久
姫路赤十字病院 理学療法士/ NIDCAPトレーナー

この度、Japan National NIDCAP Training Center(JNNTC)のセンター長を拝命いたしました、姫路赤十字病院 理学療法士/NIDCAPトレーナーの藤本智久と申します。このような大役を仰せつかり大変気が引き締まる思いです。このJNNTCは、日本ディベロップメンタルケア(DC)研究会のNIDCAPトレーニング部門として、NIDCAP Federation International(NFI)より正式に承認されたNIDCAPトレーニングセンターです。今回の開設にいるまで、マスタートレーナーのgretchen Lawhon先生やJoy Browne先生はじめ、DC研究会の皆様や協賛の方など非常に多くの方々にご協力いただき、誠にありがとうございました。
この度の、JNNTCの開設で、日本において日本語でトレーニングができる準備ができました。今回の開設は、仁志田博司 名誉会長、大城昌平 会長をはじめとする日本DC研究会の悲願でもありました。いよいよ2022年より新たなステージである自国での母国語によるNIDCAP Professionalの育成が始まります。
NIDCAPトレーニングは、NIDCAP Professionalの認定を受けるために必要なことですが、NIDCAPを学ぶことが、赤ちゃんの行動を知り、今まであまり意識せずに行っていたケアや思い込んでいたことなどを見つめ直すとてもいい機会になります。また、NIDCAPは、赤ちゃんや環境への介入だけでなく、ご家族が愛情と自信をもって赤ちゃんのケアができるように支援したり、多職種とのコーディネートを支援したり、ケアを提供するスタッフの教育を行うことも構成概念として含まれるものです。NIDCAPトレーニングでは、施設を上げて取り組んでもらうため、自分自身の技能の向上だけでなく他のスタッフや多職種への働きかけも行い、内省することで自分自身を高めるいい経験になります。そしてNIDCAP Professionalの認定を受けると自信をもって、それらに取り組むことができます。是非、興味をもたれた方や施設からのご応募をお待ちしております。 いま、我々は、ようやく動き始めたばかりです。これからも多くの課題や困難があるかもしれませんが、日本におけるNIDCAP Professionalを一人でも多く増やしていくことが使命であると思っています。このJNNTCが、日本の赤ちゃんやご家族のためにNIDCAPの普及の拠点として、活動していけるように皆様のご協力、ご指導を賜りますようよろしくお願いいたします。

NIDCAPトレーナー紹介
内海加奈子

内海 加奈子
東京都立墨東病院 助産師

1980年代にボストンで生まれたNIDCAP。40年近くの時を経て、ついに日本にもトレーニングセンターが設立されることになりました。NIDCAPでは赤ちゃんの行動観察を根拠とした個別的なケアを行い、家族の絆を育む支援に重点をおきます。これは今、周産期医療に必要とされる子育て支援のプログラムです。
私たちがNIDCAPを学ぶことで、赤ちゃんと家族にあたたかいケアを実践し発達を支援できるだけでなく、医療従事者のOJTや組織的なディベロップメンタルケアの意識の向上と変革にも寄与できることを実感してきました。JNNTCの誕生により日本の周産期・新生児医療に携わるすべての方に学びのチャンスが生まれたこと、NIDCAPを通して周産期医療の発展に貢献できることに喜びを感じています。NIDCAPに基づいた、赤ちゃんと家族の強みを引き出して弱みを支援するケアが日本で広がる未来はすぐそこです。


大竹洋子

大竹 洋子
東京都立小児総合医療センター 看護師

2009年、NIDCAP trainingの始まりでした。しかしこの時、「NIDCAP」という言葉が未知の世界への始まりでもありました。日本のNICUに従事している誰もが初めてのことであったと思います。その中で、マスタートレーナーのgretchen Lawhon先生の基、2011年にNIDCAP professional を修得。そこで学んだのは、NICUに入院した赤ちゃんが、NICUという環境の中で24時間成長している中、経験のあるスタッフだけではなく、新人でさえも、“赤ちゃんの行動”に注目してケアに繋げることの大切さです。そして何より重要なのは、医療従事者だけではなく、赤ちゃんのご家族と共に、ケアに関わっていくことです。この当たり前のようなことが、ユニットであるNICUでは、医療者重視になりがちです。そこを、赤ちゃんの目線、ご家族の目線に立って考えるということ、NIDCAPの基本である、“voice of the Newborn:赤ちゃんの声”を理解することにあります。このspiritsを基本として、トレーナーとして、日本の新生児医療に携わる多くの仲間に、伝え続けて行きたいと思います。


森口紀子

森口 紀子
愛仁会高槻病院 看護師

2007年、日本周産期学会において、会頭の東京女子医科大学名誉教授の仁志田博司先生が、NIDCAPの創設者であるHeidelise Als先生を招聘され、大きな反響がありました。そこで2009年に、我が国にディベロップメンタルケアの理念と実践を導入し,専門職者のDC教育プログラムを開発して、専門職者の資質向上を図り,新生児および早産児ケアの質を改善し,保障することを目的に、日本ディベロップメンタルケア(DC)研究会を、仁志田先生、現会長の大城昌平先生らが立ち上げられ、日本におけるNIDCAPトレーニングが本格的に始まりました。
マスタートレーナーのgretchen Lawhon先生やJoy Browne先生はじめ、多くの方々にご協力いただき、現在国内のNIDCAP Professionalは20名を越え、今回、JNNTCの開設で、日本語でNIDCAPトレーニングができる準備がようやく整いました。
NIDCAPは、NICUにおけるケア場面前後の赤ちゃんの行動観察をもとに、赤ちゃんの神経行動系の発達状況や環境への適応を知る手がかりとし、環境やケアの調整と改善、家族やスタッフへの支援を含有する包括的で体系的なプログラムです。これまで日本人が大切にしてきた繊細で細やかな「赤ちゃんやご家族に対する優しいケア」に、NIDCAPをひとつのツールとして導入することで、赤ちゃんの行動に基づき、より可視化・具現化され、よりシステマティックな個別ケアの推進につながると確信しています。

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