NIDCAPとは

NIDCAP(Newborn Individualized Developmental Care
and Assessment Program)とは

NIDCAPは、新生児・早産児の成長発達と発達障がいの予防、親子の関係性を育むことを目的とした、新生児の神経行動発達理論と科学的根拠に基づいたケアモデルです。NIDCAPは、1984年に、Heidelise Als博士(Harvard Medical School) とその共同研究者であるgretchen Lawhon博士によって体系化されました。NIDCAPをケアに取り入れることで、ケア提供者の資質向上とケアを改善し、赤ちゃんの発達と親子の関係性を築き、未来をより良いものにすることができるでしょう。NIDCAPを学び実施するには、標準化されたトレーニングプログラムを受講することが必要です。皆様のNIDCAPトレーニングの受講をお待ちしています。

NIDCAPの実践
  • NIDCAPは、赤ちゃん、親・家族、ケアスタッフ、病院・NICU/GCUの組織体制の4つの視点でアプローチします。
  • 赤ちゃんには、赤ちゃんの行動を読み、赤ちゃんのストレスを軽減し、快適さと安心感を与え、成長と発達を促すため、赤ちゃんの心に寄り添うケアを提供します。
  • 親・家族には、親や家族が赤ちゃんの最も大切な養育者であると位置づけて、親や家族とともに一貫してケアに取り組み、親子と家族の関係性を支援しています。
  • ケアスタッフには、赤ちゃんと家族を支える専門職者としての成長と資質向上をサポートします 。
  • 病院組織には、NIDCAPに基づくケアが組織的に提供できるよう支援体制の構築を目指します。
NIDCAP観察レポート(一部抜粋)

僕は生まれてから31日目、修正週数34週4日です。前回の観察では、保育器の中で酸素23%を使用していましたが、呼吸状態が安定し昨日で終了し、NICUからGCUに移りました。体重は2118gになって順調に育っています。今は胃チューブから1回に40mlの母乳を1日8回もらっています。お母さんは僕と過ごすために搾乳を持って毎日会いに来てくれます。お父さんも週に3~4回僕と過ごします。僕とお母さん・お父さんはカンガルーケアをして、心地よい楽しい時間を過ごします。来週からは口からミルクを飲む練習を始める予定です。

NIDCAPにふれたご家族の声

早産で生まればかりの赤ちゃんの気持ちをどう汲み取り、どう接したらよいのか。とまどいの中、皆さんの赤ちゃんに対する声かけや行動は私たちのお手本となり、言葉の一つひとつが赤ちゃんとの距離を縮めてくれました。NICUは家族とともに赤ちゃんの子育てを手助けしてくださる場所なんだと感じました。


息子は22週、434グラムで生まれました。直後から肺の状態が悪く、重症との診断を受けました。それから6か月、奇跡的な生命力で生き抜き、様々な事を私たちに残し、息子は旅立ちました。
家族愛、愛しさ、優しさ、強さを身をもって伝えにきてくれた息子。
短い様ですが、私たち家族にとっては十分な時間でした。その時できる最大限のことを皆さんが日々考え、話し合ってくださった事。 家族の言葉に敏感に耳を傾け、連携してケアや治療に力を尽くしてくださった事。そして何より、息子と私たち家族に愛情をもって接してくださった事。本当に感謝の思いでいっぱいです。命の長さではなく、どう過ごしたか。優しさの溢れる環境の中で過ごした時間は、私たちを“家族”にしてくれました。

ヒーロー君のパパとママより


  • NIDCAPレポートを読んで、会えない時間のわが子の様子がわかるので嬉しかったです。
  • NIDCAP観察を行っていただいたことで、どう接すれば良いのかを知ることができ感謝しています。
  • コロナの時期で面会のできない祖父母にも今の状況を知らせる良い資料となったので、大変助かりました。
  • 子どもの様子や状態に合わせたケア方法を知る事ができて良かった。
  • NIDCAPレポートがスタッフと共有されていて、子どもに合わせたケアが統一されていると感じました。
  • 初めはあまりに小さく産まれたわが子にどう接していいのかもわからず不安でいっぱいでした。NIDCAPやスタッフの方々を通じて赤ちゃんのことが少しずつ理解できるようになって、積極的に関われるようになったし、自宅に戻っても大丈夫だと思えるようになりました。ありがとうございます。
NIDCAPにふれたスタッフの声
  • 自分では気づくことができなかった赤ちゃんの小さなサインを知ることができました。観察結果をスタッフ間で共有することで、ひとりひとりの赤ちゃんに合わせたケアを行うことに繋がりました。また、観察レポートを読んだご家族とお話し、出生してからの赤ちゃんの小さな成長を一緒に共有することができました。
  • 個々の赤ちゃんの安定化サインの違いやポジショニングの検討をすることができ、赤ちゃんに適した発達の促進が行えました。母親に赤ちゃんの様子や発達状況を伝えることで、赤ちゃんに触れる恐怖心や不安の軽減に繋がっていたと思います。また、私も発達に目を向けるきっかけとなり、個々の看護について考えることができました。
  • 赤ちゃんを観察した後のカンファレンスは、赤ちゃんの行動の意味やベストなケアを皆で考えるとても貴重で有意義な時間です。自分では気づけなかった赤ちゃんの表情や仕草、成長発達を知ることができたり、自分のケアを振り返る機会にもなっています。

  • ケア中の観察は自分の手技を見られているようで緊張しましたが、観察レポートや助言をもらうと納得するし、次から気を付けようと意識できるようになりました。
  • 観察レポートがあることで、赤ちゃんの状態をより詳細に把握できケアに活かせるため、NIDCAPはとても重要な取り組みだと感じ、自分もやってみたいと思いました。
  • 観察レポートは赤ちゃんの成長・発達のストーリーでもあり、家族が不在時の様子も伝えてあげることができると感じました。赤ちゃんと家族の絆や両者の心を育めるように活用していきたいです。
  • 赤ちゃんがとても多くの様々なサインを送ってくれていることを知りました。観察を通して、赤ちゃんの「強み」を発見することができたのは、非常に大きな気づきでした。赤ちゃんのサインひとつひとつをキャッチして、赤ちゃんに合った環境やポジショニング、ケア・処置・休息のタイミングなどを考えていくことが、その子その子の発達のサポートに繋がっていくのだと感じました。

  • NICUに配属されてから赤ちゃんに優しい看護をしたいとポジショニングやケアのタイミング等、自分なりに考えて実施していました。しかし、自分の実施しているケアに不安も感じていました。NIDCAPと出会い、根拠や方法を知ることができたことで、自信をもって赤ちゃんとふれあうことができるようになってきました。今後はより赤ちゃんの個別性に合わせた看護につなげていけるようにしていきたいです。
  • NIDCAPを学んだことで、NICUでの日々の全てが成長発達に影響を与えることを改めて認識しました。そして、実際にNIDCAP観察の体験を通して、赤ちゃんの行動や表情が示すサインを細かく知り、それぞれの看護を振り返る貴重な機会になりました。まさに、この体験から痛みに対するケアも積極的に行うようになり、家族とも赤ちゃんの様子を共有することで、赤ちゃんに合わせた優しいケアを一緒に考えることができるようにました。
  • 赤ちゃんの行動をよく観察すると、想像していたよりも様々な音があることに驚きました。当たり前に聞いていた音が騒音に聞こえるようになって、私もこの環境だとゆっくり休めないと思いました。赤ちゃんがお腹の中で育つような環境を整えることが大切ですね。
Copyright (C) 2019 日本ディベロップメンタルケア研究会 All Rights Reserved.